di(n,j,k)のグラフ [数学小話]
「桁」の数学でd関数なるものを定義した。定義しただけなのでつまらなかったと思う。面白くなるのはここからである。面白くなるというのはここでは証明の美しさなどではなく数の振る舞いである。
ここではd関数($d^{j}_{k}(n)$)はdi(n,j,k)と表記します。
外部関数定義で紹介したプログラムを用いてグラフにします。
di(n,1,j)のグラフ
まずは一番簡単なdi(n,1,1)から説明します。di(n,1,1)はある数nの各桁の和を求めるという作業を一回行うという意味でした。たとえば、
di(12,1,1)=1+2=3
グラフを見てみましょう。ある数nを横軸にとり、その数をd関数に入れた値が縦軸にプロットします。
図1 di(n,1,1) 1≦n≦100
なるほどぎざぎざになる。ちょっと考えれば当たり前ですね。これくらいなら想像できる。下のグラフをnの範囲を広げたもの。
今度はdi(n,1,2)を見てみましょう。これはnの各桁の和を求めるという作業を2回行う。すなわち
di(n,1,2)=di(di(n,1,1),1,1)
と入れ子構造の関数。たとえば、n=39について
di(39,1,1)=12 なので di(39,1,2)=3
となります。
ではグラフを
ひとつだけ飛び出しているのは2999です。
2999→29→11
ここまでは単純明快なグラフでしたがここから複雑で面白くなります。
di(n,2,j)のグラフ
各桁の2乗の和を求めます。例えば、
di(26,2,1)=2^2+6^2=40
ですね。
nが1から3000までのdi(n,2,1)のグラフを見てみましょう。
nが1から300までだと
周期的でパターンがあります。
nが1から3000まででdi(n,2,1)の数値の種類は202あります。すなわち最初3000個あった数字がd関数によって202個まで減少するのです。
ではdi(n,2,2)のグラフです。
完全にばらばらになりました。しかしよく見ると横に線みたいなものが見える。これを続けるとどうなるのか。面白そうだ。
202が84種類まで減少します。数字の種類が変化しなくなるまで見て見ましょう。
di(n,2,3)のグラフ
84→50まで減。
di(n,2,4)のグラフ
50→33
di(n,2,5)のグラフ
33→24
di(n,2,6)のグラフ
24→18
di(n,2,7)のグラフ
18→14
di(n,2,8)のグラフ
14→12
di(n,2,9)のグラフ
12→11
di(n,2,10)のグラフ
11→10
di(n,2,11)のグラフ
10→9
di(n,2,12)のグラフ
9→9
9種類で落ち着きました。これで十分か調べます。ここまで残った数は、
1 4 16 20 37 42 58 89 145
ひとつひとつ調べよう。
1→1→1→…
これは当たり前だ。
4→16→37→58→89→145→42→20→LOOP
なるほど、ループするのか。面白い。
これで9種類でたのでこれ以上減ることは無い。すなわち、これ以上調べる必要はありません。
次にd関数で生み出される種類の変化を見てみる。
なんとなく滑らかに減少することがわかる。
もちろんこれはnの1から3000という数字に依存する。
さて、ここまで見てきたことをまとめると、
自然数nは、「各桁の2乗の和」を求める操作を繰り返すことで「1」と一定になるもの、「4→16→37→58→89→145→42→20→LOOP」となるものの2種類しかない。
と予想できる。
「予想」と言ったのはもちろんnが1から3000までの有限の値までしか調べていないからだ。もしかすると3000より大きい数でLOOPするということが考えられるからだ。完全に上に書いたことが成り立つと言い切るには証明しなければならない。
面白そうだという人は証明にチャレンジしてください。
続く
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