円周率を求める ~実践篇~ [微積分]
体積を求めるシリーズ(数学記事一覧参照)の「円周率を求める ~理論篇~」の続き。実際に測ってみた。
使う主な道具は定規(今回、底からうまく測れる定規がなかったのでサシガネを用います)と円柱容器。円柱容器は100円ショップでそれらしいのがあったので買いました。たからあまり正確でないことを先に言っておきます。
これが買った容器。転がしてみても曲がっていかないのでまあ良しとします。しかし、底が微妙に凸になっている。なかなか良いのが無かったのです。
さて、水を流すとき底面の円の中心が必要なので求めます。
上の写真のように紙の上に容器を置き鉛筆でその周り一周し円を書いて中心を求めた。
中学の幾何の問題でよくありますよね。円の中心を作図して求めよって。
円の半径は要らないけど参考に。
作図した中心を上から見て油性ペンで印をつけます。転がして中心がぶれなかったので良しとします。
さて、理論篇で導いた式
h、h'、bを求めていきます。
まずは高さhから、
h=11.4
次に水を入れて先程の円の中心まで水を減らし、測ります。
こんなかんじ。思ったより結構少なくなるね。
h'=2.8
さて、bは底の厚みが少し凸になっている関係でわかりにくいのでだいたいの値ですが
b=0.6
これらの値を代入して
計算すると
3.272727…
有効数字を考慮すると実測の円周率は
3.3
実際の値(3.14159…)と比べると一桁のみ一致。
容器の不正確さや表面張力の大きい水を用いたこと、測定精度を考えるとまあこんなもんでしょう。(本当は3回以上は同じことをしなければいけないんだけど・・・)
もっと良い容器があるよって言う人はぜひ簡単なのでやってみてはどうだろうか。
もとの問題は高校の数学Ⅲの標準レベルぐらいの問題なので実際に教室等で実演して、計算し「さて、なぜこの式は円周率に近い値になるのでしょう?正確にやれば円周率に等しいはずなんだけどね」って問題を出せば、面白いと思う。盛り上がりますよ!
あと、円周率を最初に習うのが小学の低学年ぐらいだったと思うけど、「円周率はこれでも求めらるるんだぞ!」って実演して、「なぜかは高校生になったらのお楽しみ」って教えれば効果抜群です!?みんな数ⅢC取りますよ(笑)
解法も僕が示したとおりいろいろな切り口があるので、視野を広げるには良い問題かもしれない。
ぜひ挑戦を!
おもしろかった。
やっぱり小数第1位までは無理でしたか・・・。
自分でもやってみたいと思いつつ、なかなかできないので、
写真入で具体的に書いていただき、とてもよかったです。
by m (2010-08-09 05:49)
関孝和は1681年、円の多角形近似から円周率を求めていますね。そのとき使ったのが現代でいうシャンクス変換(1955年)です。日本人としては関変換といって欲しいところです。シャンクス変換を使ったので可能ですが、関は円周率を11桁求めたというのですから単純に驚きです。
by yablinsky (2010-08-12 23:07)
yablinskyさん、コメントありがとうございます。
江戸時代の日本で円周率を11桁求めるなんてすごいですよね。
当時の和算のレベルの高さには驚かされます。
教科書等ではニュートン、ライプニッツらの微積分を学びますが日本の和算にも目を向けたいですね。
by ミノ〜+ (2010-08-13 00:04)